百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2017年7月21日金曜日

うぬぼれとむなしさ

われわれは、全地から、そしてわれわれがいなくなってから後に来るであろう人たちからさえ知られたいと願うほど思い上がった者であり、またわれわれをとりまく五、六人からの尊敬で喜ばせられ、満足させられるほどむなしいものである。
パスカル「パンセ」(前田陽一・由木康訳/中公文庫)より