百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2017年6月15日木曜日

食前の祈り

美術展は会期終了間際にならないと行かないものだ。重い腰を上げて、森タワーでの「大エルミタージュ美術館展」を観に行く。

シャルダンの「食前の祈り」が観たかっただけなので、他のほとんどの作品はざっと眺めたのみ。この絵はルーブルにあるものだと思っていたのだが、別のヴァージョンをエルミタージュが持っているとのこと。構図は全く同じだが、制作年が左隅に描き込まれていることや、床にフライパンが置かれていることなど若干の相違点がある。