百歳にもなると、人間は愛や友情に頼らずにすむ。さまざまな災厄や不本意な死に怯えることもない。芸術や、哲学や、数学のいずれかに精進したり、独りでチェスの勝負を楽しんだりする。その気になったら自殺する。人間が己れの生のあるじならば、死についても同じである。
「疲れた男のユートピア」(J.L.ボルヘス著/鼓直訳)より

2017年8月17日木曜日

英単語

英語で書かれたものを読むときには、意味が分からない語が頻繁に現れるので "OALD" を傍らに置いているのだが、大抵これだけで用が足りてしまう。ちなみに英英辞書とは言っても、文法の初歩的な説明や、絵やイラストが沢山入っている、英語学習者向けの辞書である。

と言うことは、私の英単語力は高校生の頃からさして進歩していない。いや、辞書を引く頻度や、引く語からして、後退している気がする。

2017年8月11日金曜日

夏の読書

隠居に土日も祝日も盆も正月もないのだが、生活のリズムをとるため、世間のカレンダにあわせて一日の過し方を変えるようにしている。

そんなわけで、数日仕事やルーチンワークを停止して、家でのんびり気楽な本など読んで休む予定。お供は「ホット・ロック」(D.E.ウエストレーク著/平井イサク訳/角川文庫)、「ラブラバ」(E.レナード著/鷺村達也訳/ハヤカワ文庫)、「耳をすます壁」(M.ミラー著/柿沼瑛子訳/創元推理文庫)、「逆転世界」(C.プリースト著/安田均訳/創元SF文庫)、など。

2017年8月9日水曜日

エアコン新調

今日の午後、一時から三時の二時間かかって、故障していた居間のエアコンの代替機の設置工事。結局、おそらくこの夏で一番暑い二時間に工事することになり、業者の方には気の毒な感じ。明日以降、東京で猛暑日はなかったりして……

涼しい居間で、「スローターハウス5」(K.ヴォネガット・ジュニア著/伊藤典夫訳/ハヤカワ文庫)を読む。

2017年8月5日土曜日

絶望

最近、キルケゴールがすごく大事なんじゃないかな、と思うのだが、読んでみると難解過ぎてほとんど良く分からなくて、これは「キリスト者」でないとどうにもならないのかも知れない、とも思うものの、やはり大事なんだろうと思う。

ああ、しかし、いつか砂時計が、時間性(このよ)の砂時計がめぐり終わるときがきたら、俗世の喧騒が沈黙し、休む間もない、無益なせわしなさが終わりを告げるときがきたら、きみの周囲にあるすべてのものが永遠のうちにあるかのように静まりかえるときがきたら — そのときには、きみが男であったか女であったか、金持ちであったか貧乏であったか、他人の従属者であったか独立人であったか、幸福であったか不幸であったか、また、きみが王位にあって王冠の光輝を帯びていたか、それとも、人目につかぬ賤しい身分としてその日その日の労苦と暑さとを忍んでいたか、きみの名がこの世のつづくかぎり人の記憶に残るものか、事実またこの世のつづいたかぎり記憶に残ってきたか、それともきみは名前もなく、無名人として、数知れぬ大衆にまじっていっしょに駆けずりまわっていたか、またきみを取り巻く栄光はあらゆる人間的な描写を凌駕していたか、それともこの上なく苛酷で不名誉きわまる判決がきみにくだされたか、このようなことにかかわりなく、永遠はきみに向かって、そしてこれらの幾百万、幾千万の人間のひとりひとりに向かって、ただ一つ、次のように尋ねるのだ、きみは絶望して生きてきたかどうか、きみはきみが絶望していたことを知らなかったような絶望の仕方をしていたのか、それとも、きみはこの病を、責めさいなむ秘密として、あたかも罪深い愛の果実をきみの胸のなかに隠すように、きみの心の奥底に隠し持っていたような絶望の仕方をしていたのか、それともまた、きみは、他の人々の恐怖でありながら、実は絶望のうちに荒れ狂っていたというような絶望の仕方をしていたのか、と。
「死にいたる病」(S.キルケゴール著/桝田啓三郎訳/ちくま学芸文庫)より

2017年7月30日日曜日

「狙った獣」/「グリッツ」

週末、長時間の移動があったので往復の車中の読書は、買い置きの未読本から、往きには「狙った獣」(M.ミラー著/文村潤訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)、帰りには「グリッツ」(E.レナード著/高見浩訳/文春文庫)を選んだ。「グリッツ」は車中で読み切れず、今日帰宅してから、夕方、風呂上がりにパイナップルを食べながら読了。

「狙った獣」は今まで未読だった古典的名作。これは健康な心の持ち主には書けないな、と思うほど狂気の描写に真実味がある。狂気に首尾一貫した筋が通っていて、ここまで理性的なのは正気だからではなく、むしろ著者も狂っているからではないか。余計なお世話だが、ロス・マクドナルドとマーガレット・ミラーの夫婦生活はどんなものだったのかと、いらぬ心配をしてしまう。夫婦そろってここまで陰気で、狂気で、トリッキィだと、何かとても恐しい日常を送っていたのではないかと……

「グリッツ」でエルモア・レナードを初めて読んだ。面白い。まだまだ世の中には面白本があるのだなあ。スティーヴン・キングはこの「グリッツ」でレナードを「発見」し、読了後ただちに本屋に走って買えるだけのレナード作品を買ったとのこと。私はそこまで興奮はしなかったが、独特のスタイルが味わい深いことは確か。登場人物が一人残らず、皆、それぞれに良い。作品自体もどこがどう良いとは言い難いのだが、すみずみまで良い。ずっと読んでいたいような爽やかさな生命力。それでいて読後、ああ面白かった、で、何も残さず本を閉じられる。

2017年7月27日木曜日

書庫の模様替え

私の生活の唯一の悩みだった、バスルームのカランとシャワーの交換が完了し、今後は何の憂いもなく毎日を過せると一安心したのも束の間、今度はこの真夏に居間のエアコンが故障。管理会社に連絡はしたものの、いつ新調できるかも分からない。

寝室と書庫にはエアコンがあるので、熱中症で孤独死することは避けられるだろうが……そうだ、書庫を書斎のような感じの居住スペースに模様替えしよう、と決断。窓を塞いでいた三つの書棚を移動させ、小さなテーブルと椅子を運び入れた。

とりあえずそれらしい感じにはなったので、暑さはこの部屋でしのぐことにしよう、と思っている。